日々雑録

40歳、書籍編集者の日記です。

子のイヤイヤ・私のイライラ対策

このあいだ、Sarahahに“親なのに情けないと思うけど、子どものイヤイヤに強く怒ってしまいそうになってしまう”というメッセージが届いた。

まず、少しも情けなくなんかなくて、本当に心から“お疲れ様です”って思う。Twitterだと字数制限があるので詳しく書けなかったけど、私もイライラすることはあるし、親とて生身の人間だし(子ができたからって人間性は変わらないし)、何より子育ては24時間体制で(仕事をしている場合は仕事以外のほぼすべて)、しかも子どものペースに合わせてばかりになるので(自分の欲求は生理的なものさえ満たせないこともある)、怒りやすくなるのは仕方がない。

しかも、人によって、他の負荷がかかっていることもある。たとえば心身の調子がよくないとか、配偶者が子育てや家事をしないとか面倒なことを言ってくるとか、家族の誰かが病気でケアに時間がかかるとか、時間やお金のやりくりが大変とか……。

なので、できたら自分を否定しないで褒めたほうがいいと思う(罪悪感を持つと、よりイライラするか落ち込んでしてしまうし)。みんなも私も十分がんばってる。たまに嫌な態度をとるのは仕方ないから、もし間違えたら謝ればいいと割り切ったうえで、私がやっていることは以下のようなこと。

①できるだけ無理をしない

少なくとも適当な子育ては続けなくてはいけないし、できるだけ子どもと楽しく暮らしたい。無限に我慢できる人間はいないので、できる限り他の負荷を減らしている。嫌だと思ったことは断る、疲れたなと思ったら料理をしないで(片づけも省略できる)お惣菜を買ってくるか外食をする(離乳食はレトルト)、掃除をあきらめる(外注する)、お風呂や洗濯をさぼる、食洗機やルンバを導入するなど。私は疲れたら、子どもと夜道を楽しく探検したり、コンビニで一緒に好きなものを買ったり、外食したりして、早く寝るようにしている。

②ひとりだけの時間をとる

私は、子どもが生後1か月のときから、夫にすすめられて1か月に1回くらいは日中から夜まで自由に単独行動している。それ以外にも、夫がいるときなら、限界が訪れる前に「ひとりになってもいい?」と聞いて離脱(もちろん、夫も限界になったら交代)。イライラを態度に出してしまう前に、ほんの30分でも1時間でもひとりでお茶をしたり散歩をしたりすれば気分が変わる。休憩の必要性がわからないパートナーの場合は、話し合いが必要かも。無理ならシッターさんや保育園や幼稚園の一時保育を利用し、それも難しいなら子どもに「少しだけ休憩させてね」と言って、時間を区切って勝手に過ごすとかがいいのかも。

③子どもの面白い点に目を向ける

いろいろ工夫しても、子どもはぐずったり泣いたりイヤイヤしたりするし、その気持ちを受け止めてもらう経験も必要なので、諦めて面白い点に目を向けている。客観的な目で見ると、めちゃくちゃ面白い顔をしていたり、変な言葉を口走っていたり、ありえない動きをしていたり。たとえば魚のようにビチビチしていたら、漁師気分になって「とったど~」と言いながら抱えると(なんだこれ?)と笑えてくるし、実際に笑ってみると少しは気がまぎれるかもしれない(私はアホなのでまぎれてしまう)。ただ、ちょっと大きくなってくると「笑わないでぇ~!」とめちゃくちゃ怒るので、心の中にとどめる必要が出てくるかもしれない。

④少し大きくなってきたら説明する

(小さな子どもに説明なんかしても……)と思いがちだけど、繰り返し説明すると、子どもでもわかってくれることは多い。赤ちゃんのときは無理なのでしなかったけど、1歳時でもたたいてきたら「痛いからやめてね」などと理由と嫌だということを伝え、3歳時には「お休みの日の朝早くは起こさないで。パパを起こして」、「ママやパパの行きたいところも行くよ。Aの行きたいところも行く。誰でも行きたいところがあるでしょう」などと言い、少しずつレベルを上げて繰り返し理由や意義、親の意思を穏やかに説明してきた。このひと手間が私たちの明日をラクにするのではないか!!(大げさ)。

⑤怒りが静まらないときはコーピング行動

一瞬でも何か別のことを考えたり、別のことをしたりすると、気分が切り替わりやすい。それではおさまらないようなら、認知行動療法のコーピング行動(対処方法)を試すのもおすすめ。コーピング行動は、いったん違う部屋に行く、アメをなめる、ガムを食べるなど、なんでもOK。「どんなことがあると、自分などんなふうになるか、そのときどんなコーピング行動をとるか」をセットで決めておいて、怒る代わりに実行するだけ。怒りっぽい人は、子どもに関係なく認知行動療法の本を読むといいかも。

 次にイヤイヤの対処法でやっていたこと、今でも反抗されたときにやっていること。子どもの行動には理由があったりするし、少なくとも成長の途中だから仕方のないことが多く、決して(ククク…親を困らせてやろう)と思って反抗しているわけではないので、まず観察したり理由を聞いたり考えたりしてから落ち着いて対処するのがいいかなと思っている。

①まずは観察して理由を考える

なぜ子ども荒ぶっているのか理由を考えると、イヤイヤ期で自己主張の練習をしている以外でも、お腹がすいていたり眠かったり疲れていたり体調が悪かったり、親の都合に合わせすぎていたり、一緒にいる時間が少なくて不満だったり、短時間でも集中して一緒に遊べていなかったり、話を聞いてもらえていないと思っていたり、園で嫌なことがあったり、などいろいろある。思い当たることがあるときは、強く叱ったりせず、話を聞いたり改善したり謝ったりするだけで解決することがあるなあと実感してる。

②接し方を工夫してみる

<イヤイヤ期などの理由がある場合・急いでいる場合>

「あれ? これは何?」と何かを見せて問いかけたり、別の場所に移動したりして気分を変える。抱き上げてクルクルまわったり、「おっとっと~」と落としそうになったフリをしたりしてあやす。何か別の楽しいことに誘うーたとえば「帰りに公園に寄って、すべり台しよう。何回する?」などと聞く。安全な道なら「帰っちゃおうっと」と笑いながら逃げるか競争する。お風呂に入りたがらない場合は、湯船にペットボトルやフィギュアなど毎回違うものを放り込んで「よーし、遊ぶぞ!」と言って誘導する。着替えをしたがらなかったら服を2択で選ばせたり、「どっちが早いかな? よ~いドン!」と競争したりする。「これできたら〇〇をしよう」「△△を食べよう」などとご褒美をあげる。いずれにせよ、よくない行動をやめられたらほめる(よい行動をとりたいという動機づけになる)。

<仕方なくもない場合、急いでいない場合>

感情的になっているときは「〇〇をやめなさい」など、冷静に短くわかりやすく具体的な指示をしたあと、他人の迷惑にならない限りはそっとしてる(たたいたりするなら手をやさしくおさえるけど)。ずっと近くにいて「どうしたの?」「なんで怒ってるの?」「やめなさい」「いい加減にしなさい」などと言い続けると、火に油を注ぎ続けるようなものだし、ずっと何か言われていたら気持ちを整理できないだろうから。私は「自分の気持ちは自分にしか変えられないよ。気持ちが落ち着くまで別々に過ごそうね」と言うこともあるのだけど、子どもはだいぶ自分で気持ちを切り替えられるようになってきた。えらい。もちろん、よくない行動をやめられたらほめている。

というわけで、これまでに私が専門家の本などから学んだこと、思いつきでやってみてよかったことを、いくつか挙げてみた。これは私が個人的にいいと思っていることだし、子どもだって個人差が大きいので効果的とは限らないけど、誰かの参考になればうれしい。

そして、本当につらいときは、自分の気持ちを否定しないで(親だからしっかりしなくては、と思いすぎないで)、早めに家族や友達、地域の子育て支援センターや保健所、児童相談所、保育園や幼稚園(広く相談を受け付けているところもある)、精神科などで相談してほしい。あとは、もしも可能なら近所の人や同じ園の父母に相談するのもいいかも。それは無理って思うかもしれないけど、話すだけで気持ちが軽くなることはあるし、助けてくれる人がいるかもしれない。普段から同じ親仲間が大変なときには可能な範囲で何かしたいと思っている人は結構いると思うのだけど、「つらい」と言ってくれないとわからなかったりするので。